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教えてドクター!
Q&Aコーナー

院長がやさしく教える医療コラム
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櫻林 耐 院長

日本腎臓学会認定 腎臓専門医 / 日本循環器学会認定 循環器専門医

皆様からよく寄せられる素朴な疑問や、日々の生活で気をつけていただきたい腎臓病・糖尿病の食事療法について、分かりやすく解説します。

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腎臓はどんな働きをしているの?

A

尿を作って老廃物を出すほか、血圧・赤血球・骨の健康にも関わっています。

腎臓の働き。尿を作る、血圧を調節する、赤血球を作るホルモンを出す、ビタミンDを活性化する様子
患者さんのイラスト患者さん

腎臓はどんな働きをしているのですか?

院長アイコン櫻林院長
  1. 尿を作って老廃物を体の外に出しています。

    腎臓は大動脈から直接血液を受け取り、血管が球状になった「糸球体」に送られます。血管の壁を篩として血液から尿のもと(原尿)を作ります。その時に、必要なものと不要なものを分別しています。

    出来た原尿は尿細管に送られ、ここでさらに必要な水分やミネラル等の成分を再吸収し、不要なものは尿として排泄します。糸球体と尿細管はペアになっていて、「ネフロン」と呼ばれます。老廃物を排泄しながら、ミネラルなどを調節しているのです。

  2. 血圧を調節しています。

    腎臓は血圧の維持に欠かせない「レニン」というホルモンを作っています。「レニン」は血管を収縮させ血圧をあげるホルモンである「アンギオテンシン」を作るのを助け、「アンギオテンシン」はさらにナトリウムや水分を体にためる「アルドステロン」というホルモンを作るのを助けます。

    腎臓に流れる血液の量が減ると「レニン」を多く分泌し、腎血流を増やそうとしますが、高血圧となり、全身の動脈硬化をおこして腎動脈硬化が進んで腎血流を減らしてしまいます。

  3. 血液を作るホルモンを作っています。

    貧血になると低酸素誘導因子が増えますが、これが腎臓に働き赤血球を作る指令を出す「エリスロポエチン」を作ります。エリスロポエチンは骨髄での造血を促します。

  4. ビタミンDを働きやすい形に変えて、骨を丈夫にしています。

    骨を丈夫にするビタミンDはそのままでは働けませんが、腎臓はこれを活性化します。またリン酸を排泄調節することで、体内のカルシウムの調節も行っています。

腎臓が悪くなるとどうなるの?どんな症状がでるの?

A

腎臓には余力があり、症状が出る前の早期発見・早期治療が大切です。

腎機能の低下と、むくみ・高血圧・貧血・骨への影響を示す図
患者さんのイラスト患者さん

腎臓が悪くなると、どんな症状が出るのですか?

院長アイコン櫻林院長

腎機能にはかなりの余力があり、その機能が1/5〜1/10になるまで症状が出ないことが多いのです。

  1. 尿と一緒に捨てられるはずであった老廃物や余分な水分が体内に溜まってしまいます。

    食欲不振、全身倦怠感、吐気・痒みという尿毒症の症状が表れてきます。

  2. 血圧の調節がうまくいかなくなります。

    腎臓は血流量を確保するために「レニン」を増産し、「アンギオテンシン」や「アルドステロン」の働きで高血圧になります。

  3. 造血ホルモンである「エリスロポエチン」が不足し、貧血が出てきます。
  4. ビタミンDが活性化されず、骨のカルシウムが不足して脆くなります。
  5. 余分な水分は浮腫みとなり、肺に溜まると肺水腫となって息切れ・呼吸困難となります。
  6. 最終的には末期腎不全となり、生命を維持するために腎代替療法、すなわち透析導入や腎移植が必要となります。

症状が出る前に早期発見・早期治療が必要です。

減塩ってなんでそんなに大事なの?

A

減塩は、高血圧から腎臓のフィルター(糸球体)を守り、腎臓の寿命を延ばすために最も効果的な方法です。

塩分と血圧・腎臓の関係
患者さんのイラスト 患者さん

先生、いつも『塩分を控えましょう』って言われますが、なぜ腎臓が悪くなると塩分を制限しなきゃいけないんですか?理由がわかるとやる気が出るのですが…

院長アイコン 櫻林院長

塩分を摂りすぎると血液中の水分が跳ね上がり、高血圧を引き起こします。これによって腎臓の繊細なフィルター(糸球体)が壊れてしまいます。減塩は、このデリケートなフィルターを強い圧力から守るための直接的な予防策です。

美味しい減塩の方法は栄養士とも一緒に見つけられますので、無理なく一歩ずつ取り組んでいきましょう。

慢性腎臓病(CKD)ってどんな病気?原因や症状について詳しく知りたい!

A

慢性腎臓病(CKD)は成人の5人に1人がかかる国民病です。一度進行すると元に戻らないため、健診での早期発見と生活習慣の改善・適切な治療で進行を食い止めることが重要です。

慢性腎臓病(CKD)のステージと予防
患者さんのイラスト 患者さん

先生、「慢性腎臓病」ってニュースなどでもよく耳にしますが、具体的にどんな病気なんですか?痛かったり、目立つ症状が出たりするんでしょうか?

院長アイコン 櫻林院長

慢性腎臓病(CKD)は「ゆっくりと腎臓の働きが低下していく病気」の総称で、重症度が1から5までの5段階に分かれています。

実は、軽い段階(ステージ1〜3)ではほとんど自覚症状がなく、腎臓に痛みを感じることも殆どありません。ステージ4になると怠さ、浮腫み、食欲低下、貧血などの「尿毒症症状」が現れ、最終的なステージ5に至ると生命維持のために透析などの腎代替治療が必要になります。尿の泡立ちや濁りで気づくこともありますが、早期発見には健康診断での「検尿異常」や「クレアチニン値」「eGFR(推定糸球体濾過率)」のチェックがとても役立ちます。

患者さんのイラスト 患者さん

自覚症状がないまま進んでしまうのは怖いですね…。実際にはどれくらいの方がかかっている病気なんですか?

院長アイコン 櫻林院長

実は、日本人の成人の「5人に1人(約2,000万人)」が慢性腎臓病だと推定されています。

特にご高齢の方で多く、放置すると腎臓だけでなく心筋梗塞や脳梗塞といった「心血管病」のリスクも大きく高まることが分かっています。そのため、現代では予防と早期治療が必要な「国民病」として、早期の対策が呼びかけられています。

患者さんのイラスト 患者さん

5人に1人も!そんなに多くの方が…。何が一番の原因で腎臓が悪くなってしまうんですか?

院長アイコン 櫻林院長

原因の第1位は「糖尿病(糖尿病性腎臓病)」、第2位は高血圧などが原因の「腎硬化症」、第3位が「慢性腎炎」です。

昔は慢性腎炎が一番多かったのですが、生活習慣病や高齢化に伴い、現在は糖尿病や高血圧に起因するものが大部分を占めています。その他にも、痛風、膠原病、お薬による障害、尿路の閉塞、反復性腎盂腎炎など様々な要因が関係しています。

患者さんのイラスト 患者さん

もし慢性腎臓病だと診断されたら、治療で元通りに治すことはできるのでしょうか?

院長アイコン 櫻林院長

残念ながら、腎臓の組織は一度ダメージを受けると再生せず、元の状態に戻すことはできません。

だからこそ、早期に発見して原因を突き止め、食事や運動などの生活習慣の改善と、適切なお薬で「これ以上悪くならないよう進行を食い止めること」が治療の主な目標となります。早く対処を開始すれば、透析(末期腎不全)への移行や心不全・脳卒中の発症を防ぎ、元気に過ごすことができますよ。

腎臓を守るために、食べ物や飲み物で何に気をつければいいの?

A

塩分やたんぱく質の摂りすぎを見直し、必要な栄養を確保しながら、腎機能や検査値に合った食事を続けましょう。

腎臓を守る食事の基本:減塩、適量のたんぱく質、十分な栄養、検査に合わせた調整
患者さんのイラスト患者さん

先生、腎臓が悪いと言われました。食事は何から見直したらいいですか?

院長アイコン櫻林院長

高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・肥満は、腎臓病の原因や進行に関わります。食事では、塩分やたんぱく質を摂りすぎないことと、体に必要なエネルギーを確保することが基本です。

汁物や漬物、調味料を減らし、肉や魚も適量をバランスよく食べましょう。何でも控えるのではなく、摂りすぎを適正な量に整えることが大切です。

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どれくらい食べればよいのか、量の目安はありますか?

院長アイコン櫻林院長

エネルギーは標準体重1kgあたり1日30〜35kcalを目安にすることもありますが、年齢・活動量・体格に応じて調整します。たんぱく質は、腎機能が中程度に低下した一部の方では標準体重1kgあたり1日0.8〜1.0gが目安です。すべての方に同じ量が適するわけではありません。

食塩は1日3〜6gという目安がありますが、現在は6g未満を基本に、食欲や体調も考えて目標を決めます。糖尿病・尿たんぱく・腎機能・年齢を確認し、医師や管理栄養士と相談しましょう。

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野菜や果物も控えたほうがいいですか?

院長アイコン櫻林院長

腎機能が低下するとカリウムを排出しにくくなり、血液中に増えると危険な不整脈の原因になります。ただし、野菜や果物の制限が必要かは血液検査で判断します。

特にご高齢の方は、食事を減らしすぎると低栄養や体重減少につながります。検査値だけでなく、食欲や体重の変化も確かめながら、ご自分に合う食事を続けましょう。

塩分を控えるには、毎日の食事で何をすればいいの?

A

汁物・漬物・しょうゆの摂り方を工夫すると、食事の量を減らしすぎずに、無理なく減塩を続けられます。

減塩の3つのコツ:汁を残す、漬物の量を決める、しょうゆはかけずにつける
患者さんのイラスト患者さん

塩分を控えるように言われました。どれくらい減らせばいいのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

塩分を摂りすぎると血圧が上がり、尿たんぱくが増えるなど、腎臓や心臓・血管への負担につながります。慢性腎臓病では食塩1日6g未満を基本に、3〜6gという目安も参考にしながら、体調に合った目標を決めます。

大切なのは、普段の摂りすぎを減らすことです。塩分の数字だけを気にして食事そのものを減らしてしまうと、必要な栄養まで不足することがあります。

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毎食の塩分を計算するのは大変です。簡単にできるコツはありますか?

院長アイコン櫻林院長

まずは「汁物・漬物・しょうゆ」の3つを見直しましょう。麺類やみそ汁は汁を残す、漬物は一度に食べる量を決める、しょうゆは料理にかけずに少量をつける。この3つなら、毎日の食卓で取り組みやすいですよ。

塩分が多い食品を少しずつ減らし、普段どのくらい使っているか意識することが第一歩です。食事からの計算や尿検査で摂取量を確かめる方法もありますが、最初から細かく計算しきろうとしなくて大丈夫です。

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できるだけ厳しく減らすほうが、腎臓にはよいのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

極端な減塩がよいとは限りません。ご高齢の方では味が薄くなりすぎて食欲が落ち、低栄養を招くことがあります。また、大量に汗をかいたときなどは、脱水や血圧の低下にも注意が必要です。

その日の体調や食事量を見ながら、無理のない方法を選びましょう。食べる楽しみと栄養を保ちながら続けられる減塩を、医師や管理栄養士と一緒に考えていきます。

たんぱく質をたくさん摂ると、腎臓に負担がかかるの?

A

たんぱく質は体に欠かせませんが、摂りすぎも減らしすぎも問題です。腎機能と栄養状態に合った量を選びましょう。

たんぱく質は適量が大切:体の材料になり、老廃物は腎臓から排出され、過不足に注意する
患者さんのイラスト患者さん

健康のために、肉やプロテインを多めに摂っています。腎臓にはよくないこともありますか?

院長アイコン櫻林院長

たんぱく質は筋肉や臓器の材料となり、体の修復、酵素やホルモンの働き、免疫の維持に欠かせない栄養素です。ただし、たくさん摂れば摂るほどよいというわけではありません。

たんぱく質は体で使われたあと、尿素窒素などの老廃物になります。老廃物は血液を通って腎臓に運ばれ、ろ過されて尿に出るため、過剰な摂取は腎臓のフィルターにかかる負担を増やすことがあります。

患者さんのイラスト患者さん

腎臓が悪いなら、たんぱく質を減らしたほうがいいのですか?

院長アイコン櫻林院長

特に腎機能が低下した方では、適切なたんぱく質制限が病気の進行を抑え、透析などが必要になる時期を遅らせる可能性があります。ただし、必要な量は腎機能や尿たんぱく、糖尿病の有無によって異なります。

減らしすぎると、筋肉が減ったり、食欲や体力が落ちたりしてしまいます。十分なエネルギーを確保しながら、医師や管理栄養士の指導のもとで調整することが大切です。

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プロテインのサプリメントも、やめるべきでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

プロテインがすべての方に有害というわけではありませんが、食事に追加すると、知らないうちにたんぱく質を摂りすぎることがあります。腎臓病がある方は、使う前に製品や摂取量を医師・管理栄養士に伝えて相談しましょう。

特にご高齢の方や、体重・筋肉が減っている方は、制限より栄養の確保を優先することもあります。検査値と体の状態を見ながら、バランスのよい食事を続けていきましょう。

腎臓が悪いと言われました。タバコはやめたほうがいいの?

A

禁煙をおすすめします。喫煙は血管や血圧に悪影響を与え、腎臓病の進行や命に関わる病気のリスクを高めます。

喫煙が血管・血圧・腎臓に負担をかけ、禁煙が将来のリスク低下につながることを示す図
患者さんのイラスト患者さん

タバコは肺に悪いイメージがありますが、腎臓にも関係するのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

はい、腎臓を守るためにも禁煙をおすすめします。喫煙と腎臓病の進行には関連があり、吸う本数が多いほど、腎機能が悪化するリスクが高まるという研究があります。

慢性腎臓病の方では、喫煙を続けることが透析などの腎代替療法が必要になるリスクや、死亡リスクの上昇とも関連しています。少ない本数なら安心、と考えずに禁煙を目指しましょう。

患者さんのイラスト患者さん

どうしてタバコで腎臓に負担がかかるのですか?

院長アイコン櫻林院長

タバコに含まれるニコチンなどは、血管の内側を傷つけたり、血管を収縮させたりします。その結果、腎臓に流れる血液が減り、血圧が上がって、腎臓の細い血管に負担がかかります。

また、喫煙はインスリンの働きを悪くし、糖尿病の発症とも関係します。高血圧や脂質異常症などを通して、腎臓病を悪化させる要因にもなるため、肺だけでなく全身の血管を守ることにつながるのです。

患者さんのイラスト患者さん

長年吸ってきました。今からやめても意味はありますか?

院長アイコン櫻林院長

今からの禁煙にも意味があります。長く禁煙を続けた方では、腎臓病が進行するリスクが下がることを示した研究があります。禁煙すれば必ず腎機能が元に戻るわけではありませんが、これからの腎臓や心臓・血管を守るための大切な一歩です。

タバコは依存性があり、自分の意志だけでやめるのが難しいこともあります。禁煙したい気持ちや、これまでの経過を受診時に相談し、続けられる方法を一緒に考えましょう。

腎臓を守るための運動は、どんなことをすればいいの?

A

ウォーキングなどの無理のない運動を、体調に合った強さで続けましょう。腎機能や持病を確認して、少しずつ取り組むことが大切です。

無理のないウォーキングや体操を少しずつ続け、運動量を医師と相談する様子
患者さんのイラスト患者さん

運動を勧められましたが、腎臓病にどう役立つのですか?

院長アイコン櫻林院長

腎臓病は、高血圧・血糖の異常・脂質異常症・肥満が重なると、さらに悪化しやすくなります。内臓脂肪から出る物質が血管の炎症に関わることもあり、こうした生活習慣の問題を整えることが大切です。

習慣的な有酸素運動は内臓脂肪を減らし、血圧や血糖の管理にも役立ちます。また、体力を保ち、日常生活を元気に続けることにもつながります。運動だけで腎臓病が治るわけではなく、食事や治療と組み合わせましょう。

患者さんのイラスト患者さん

運動が苦手です。何から始めればいいでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

ウォーキングやラジオ体操など、続けやすいものから始めましょう。ゆっくりした水泳なども選択肢ですが、体力や持病に合うかを確認することが大切です。走る場合も速さより無理をしないことを優先してください。

例えば、今の体力に余裕があれば「いつもより1日1,000歩多く歩く」という小さな目標も考えられます。一度に増やすのが難しい方は、もっと少ない量から始めてかまいません。実行できる量を少しずつ続けましょう。

患者さんのイラスト患者さん

腎機能がかなり低い場合や、尿たんぱくが多い場合も運動できますか?

院長アイコン櫻林院長

腎機能が低い、尿たんぱくが多いという理由だけで、すべての運動が禁止になるわけではありません。ただし、激しすぎる運動は血圧上昇や脱水を招くため、強さや時間を個別に調整します。

心臓の病気、関節や筋肉の病気、体力なども確認してから運動計画を立てましょう。疲れや息切れが強いときは無理をせず、主治医と相談して、ご自分に合う方法で続けていきます。

腎臓に負担をかける薬があると聞きました。何に気をつければいいの?

A

市販薬も含めて使っている薬を伝え、腎機能に合った種類と量を確認しましょう。脱水にも注意し、処方薬は自己判断で変えないことが大切です。

薬が腎臓に影響する3つの仕組み:血流の低下、細胞への障害、尿細管の詰まり
患者さんのイラスト患者さん

いつも飲んでいる薬や、薬局で買う風邪薬も腎臓に影響しますか?

院長アイコン櫻林院長

腎臓は薬やその代謝産物を尿に排出するため、多くの薬に触れる臓器です。腎機能が低下している方やご高齢の方は、薬の影響を受けやすくなります。

風邪薬や痛み止めに含まれる一部の解熱鎮痛薬、抗菌薬のほか、高血圧・関節リウマチ・骨粗しょう症の治療薬、造影剤や抗がん剤などでも注意が必要なものがあります。すべての薬が危険という意味ではなく、種類や量、体の状態によって判断します。

患者さんのイラスト患者さん

薬は、どのように腎臓を傷つけるのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

主な仕組みには次の3つがあります。血液検査でクレアチニンの上昇を調べたり、尿検査で異常を確認したりして、早期発見につなげます。

  1. 腎臓の血流が減る

    薬の作用によって腎臓に流れる血液が少なくなり、ろ過する働きが落ちることがあります。

  2. 腎臓の細胞が傷つく

    薬の毒性などが腎臓の細胞に直接影響し、機能が低下することがあります。

  3. 尿細管が詰まる

    薬の成分などが、尿をつくる細い管である「尿細管」に詰まり、腎臓の働きを妨げることがあります。

患者さんのイラスト患者さん

腎臓を守りながら薬を使うには、どうしたらいいですか?

院長アイコン櫻林院長

健診などで自分の腎機能を確認し、薬で腎臓を傷めた経験があれば記録して伝えましょう。市販薬を買うときも腎臓病があることを伝え、処方薬と一緒に医師や薬剤師へ相談してください。

必要に応じて、医師が薬の種類や投与量・間隔を調整します。脱水を避けることも大切ですが、水分制限の指示がある方はその指示を守り、自己判断で大量に飲まないでください。処方薬を自分で減らしたり中止したりせず、体調が変わったら相談しましょう。

腎臓が悪いと、生野菜や果物は食べられないの?

A

野菜や果物を一律に避ける必要はなく、血液中のカリウム値に合わせて量や調理方法を調整します。

カリウムを排出する腎臓の働きと、採血での確認、野菜の水さらし・ゆでこぼし、果物の量の調整を示す図
患者さんのイラスト患者さん

先生、腎臓が悪いと言われました。生野菜や果物は、もう食べない方がいいのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

腎臓病だからといって、全員が野菜や果物を控える必要はありません。気をつけたいのは、これらに含まれる「カリウム」です。カリウムは心臓・筋肉・神経が正常に働くために必要なミネラルで、食事から吸収された後、余分な分は主に腎臓から尿へ排出されます。

腎臓の働きが低下すると排出が追いつかず、血液中にたまることがあります。これを「高カリウム血症」といいます。ただし、食事制限が必要かどうかは、腎機能だけでなく採血の結果やお薬などによっても変わります。

患者さんのイラスト患者さん

カリウムが高くなると、どんな影響があるのですか?

院長アイコン櫻林院長

吐き気、しびれ、筋力の低下などを起こすことがあり、重い場合には命に関わる不整脈につながります。症状が目立たないこともあるので、体調だけで判断せず、定期的な採血で確認することが大切です。値が高い場合は、医師や管理栄養士と相談して、食べる量や食品の選び方を調整しましょう。

患者さんのイラスト患者さん

制限が必要と言われたら、食事では何を工夫すればいいですか?

院長アイコン櫻林院長

野菜は小さく切って水にさらしたり、ゆでてゆで汁を捨てたりすると、カリウムを減らせます。果物は食べ過ぎを避け、種類と一度に食べる量を決めましょう。カリウムの少ない食品を組み合わせる工夫もできます。

野菜や果物には食物繊維なども含まれます。自己判断で全部抜くと食事のバランスが崩れるので、ご自身の検査値に合った食べ方を一緒に考えていきましょう。

お酒は腎臓にも悪いの?どのくらいなら飲めるの?

A

腎臓病の方に共通する安全な飲酒量は決められず、持病や治療に合わせて飲酒の可否と量を相談することが大切です。

お酒の量と度数、塩分・脂肪の多いつまみを確認し、持病に合わせて飲酒について医師に相談する様子
患者さんのイラスト患者さん

お酒は肝臓に悪いと聞きますが、腎臓にも影響があるのでしょうか?

院長アイコン櫻林院長

腎臓病の方の飲酒量と、病気の進行との関係は、十分には分かっていません。ただ、飲み過ぎは血圧を上げることがあり、腎臓に負担をかけます。糖尿病や肥満がある方では、お酒のエネルギーも食事全体の中で考える必要があります。

痛風や尿酸値が高い方も注意が必要です。アルコール自体が尿酸値を上げる方向に働くため、プリン体の少ないお酒なら安心、とはいえません。腎臓だけでなく、持病を含めて判断しましょう。

患者さんのイラスト患者さん

ビール1缶くらいなら大丈夫、という目安はありますか?

院長アイコン櫻林院長

誰にでも安全といえる量はありません。同じ量でも年齢、性別、体質、持病によって影響が違い、少量でリスクが上がる病気もあります。一般的な飲酒の目安を、そのまま腎臓病の方に当てはめることはできません。

量を把握するときは、缶の本数だけでなく度数にも注目してください。例えば、度数5%のビール500mLには純アルコールが約20g含まれます。これは量を知るための例で、安全な上限ではありません。普段飲む種類・量・回数を医師に伝えて相談しましょう。

患者さんのイラスト患者さん

飲み方以外にも、気をつけることはありますか?

院長アイコン櫻林院長

つまみも見直しましょう。塩分の多い料理は血圧に、脂肪やエネルギーの多い料理は体重や脂質の管理に影響します。食べる分を小皿に取り分け、濃い味の料理や食べ過ぎを控えると続けやすくなります。治療中や服薬中は飲酒を避ける必要がある場合もあるので、お薬を含めて確認してください。

コーヒーは腎臓に負担をかけるの?何杯まで飲めるの?

A

コーヒーを一律にやめる必要はありませんが、カフェインの量や血圧、砂糖・クリーム、水分の制限に気をつけましょう。

コーヒーを楽しみながら、カフェイン量、血圧、砂糖やクリーム、飲み物全体の量を確認する様子
患者さんのイラスト患者さん

毎日コーヒーを飲んでいます。カフェインが腎臓に悪いと聞きましたが、本当ですか?

院長アイコン櫻林院長

コーヒーを飲む習慣があるだけで、腎機能が悪くなるとはいえません。コーヒーにはカフェインのほか、抗酸化作用のある成分などが含まれ、腎臓病の発症や進行が少ないこととの関連を示す研究もあります。

ただし、飲めば腎臓病を予防・治療できると証明されたわけではありません。腎臓のために無理に飲み始めたり、量を増やしたりする必要はないですよ。

患者さんのイラスト患者さん

では、1日に何杯くらいまでなら安心ですか?

院長アイコン櫻林院長

杯数だけで、全員に安全な量を決めることはできません。カップの大きさ、豆やいれ方でカフェイン量が変わり、お茶やエナジードリンクにも含まれます。例えば、浸出したコーヒー150mLには約90mgのカフェインが含まれるという目安がありますが、実際の量は製品などで異なります。

カフェインは注意力を高める一方、摂り過ぎると動悸や不眠を起こし、血圧が上がることもあります。尿が増える作用もあるので、飲む量や時間帯を見直し、体調に合った楽しみ方を考えましょう。

患者さんのイラスト患者さん

腎臓が悪い場合、ほかに気をつけることはありますか?

院長アイコン櫻林院長

血圧が高い方は、飲んだ後の血圧にも気を配りましょう。砂糖やクリームをたっぷり加える習慣は、糖尿病や脂質・体重の管理にも影響します。甘いコーヒー飲料を含め、飲み物全体を見直すことが大切です。

水分制限がある方は、コーヒーも1日の水分量に含めてください。ご自身の腎機能、検査値、持病に合わせて、量や飲み方を医師・管理栄養士と相談しましょう。

フットケアってただの爪切りと違うの?

A

専門フットケアは、感覚が鈍くなった足の傷や血流をチェックし、将来の足の切断(壊疽)を防ぐ重要な医療予防です。

フットケアが必要な理由
患者さんのイラスト 患者さん

透析のフロアで『フットケアが大事』とよく聞きます。家で自分で爪を切るのと、クリニックで専門のケアを受けるのとでは、何が違うんですか?

院長アイコン 櫻林院長

糖尿病や腎不全(透析)の患者さんは、足の血流が滞りやすく、さらに神経の麻痺により傷やヤケドに気づきにくくなります。その結果、小さな傷からあっという間に細菌が入り、化膿して「潰瘍」や「壊疽」へと発展してしまう危険があります。クリニックでの専門フットケアは、ただ爪を切るのではなく、あなたの足を失うリスクを未然に防ぐための重要な医療予防です。

当院には専門研修を修了した専任スタッフが常駐していますので、安心してお任せください。

血圧の薬は一度飲み始めたら一生やめられない?

A

血圧の薬は血管や腎臓を守る「盾」であり、生活習慣が改善すれば医師の判断のもとで安全に減薬・卒業できます。

血圧の薬との付き合い方(2つのルート)
患者さんのイラスト 患者さん

健康診断で血圧が高いと言われました。薬を勧められましたが、血圧の薬って一度飲み始めると、一生飲み続けなければいけないと聞いてためらっています。

院長アイコン 櫻林院長

血圧の薬は、血管や心臓・腎臓を保護する「盾(プロテクター)」としての役割を持っています。「一生やめられない」というのは誤解で、減量や食事などの生活習慣が改善すれば、安全にお薬を減らしたり中止したりすることは十分可能です。

最も危険なのは、下がったからといって自分の判断で急にやめることです。血圧のリバウンドによる脳卒中や心筋梗塞を防ぐためにも、やめるときは必ず医師と相談しながら安全に進めていきましょう。